こんにちは!イカPOです。
スプレッドシート内で、特定の文字列が入力されているセルを探すときは、createTextFinder() と findNext() を使うと簡単に検索できます。
今回は createTextFinder() と findNext() の使い方について解説します。
createTextFinder()と.findNext()
createTextFinder() は、指定された文字列を検索するための機能です。
たとえば、dataRange.createTextFinder(“シャンプー”) と書くと、dataRange という範囲の中から「シャンプー」という文字列を探してくれます。
そこから .findNext() を呼び出すと、見つかったセルの位置情報(Range オブジェクト)が返ってきます。
この Range オブジェクトを使えば、どのセルに文字が入っているかを簡単に特定できます。
rangeオブジェクトとは?
rangeオブジェクトとは、スプレッドシート内の特定のセルや範囲の「位置情報」を持ったオブジェクトです。
これを使うことで、セルの場所を特定し、関連する情報を取得できます。
たとえば、「A1セル」というセルの位置情報を持つ rangeオブジェクトなら、そのセルが**どこにあるか(位置)**だけでなく、どんな値が入っているか、どのシートに属しているかなどの情報も取得できます。
rangeオブジェクトで取得できる情報

- getA1Notation(): A1形式(「B2」「C10」など)でセルの位置を取得
- getRow(): セルの行番号(1,2,3…)を取得
- getColumn(): セルの列番号(1,2,3…)を取得
- getValue(): セルに入っている**値(文字列や数値など)**を取得
- getSheet().getName(): そのセルがあるシート名を取得
このように、rangeオブジェクトがあれば、
✅ セルがどこにあるのか(位置情報)
✅ セルの中にどんなデータが入っているのか
✅ どのシートにあるのか
を簡単に取得できます。
rangeオブジェクトとは、スプレッドシートの「セルの住所」を持ったデータと考えるとわかりやすいです。
サンプルコード(シャンプーの位置を特定してみよう)
今回の例では、用品一覧シートから「シャンプー」という文字列が入っているセルを探して、そのセルの位置を表示させてみます。
サンプルデータ
シート名:「用品一覧」
用品ID | 用品名 | カテゴリー |
1001 | シャンプー | 風呂 |
1002 | リンス | 風呂 |
1003 | ボディソープ | 風呂 |
1004 | トイレットペーパー | トイレ |
1005 | トイレ用洗剤 | トイレ |
1006 | トイレ掃除シート | トイレ |
1018 | ベビーローション | 子供 |
1019 | おしり吹き | 子供 |
1020 | ワセリン | 子供 |
1021 | おむつ用ごみ袋 | 子供 |
1022 | ゴミ袋 | 掃除 |
1023 | シャンプー | 風呂 |
上記のようにシャンプーが2つ入っているので、実行結果に注目してみましょう。
function searchRowWithTextFinder(){
const sheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet();
const targetsheet = sheet.getSheetByName("用品一覧");
const dataRange = targetsheet.getDataRange();
// 「シャンプー」という文字を探すFinderを作成
const finder = dataRange.createTextFinder("シャンプー");
// 1つ目にヒットしたセル(Rangeオブジェクト)を取得
const foundRange = finder.findNext();
if(foundRange){
// シャンプーが見つかったときに情報をログに出す
Logger.log(`見つかったセルの位置は${foundRange}`);
Logger.log(`見つかったセルの位置は${foundRange.getA1Notation()}`);
Logger.log(`見つかったセルの行番号は${foundRange.getRow()}`);
Logger.log(`見つかったセルの中身は${foundRange.getValue()}`);
Logger.log(`見つかったセルが属するシート: ${foundRange.getSheet().getName()}`);
}
else{
// 該当の文字が見つからなかった場合
Logger.log("指定の位置は見つかりませんでした。");
}
}
お決まりのスプレッドシートからデータを取得
const sheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet();
const targetsheet = sheet.getSheetByName("用品一覧");
const dataRange = targetsheet.getDataRange();
- SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet(): 現在アクティブなスプレッドシートを取得
- sheet.getSheetByName(“用品一覧”): その中の「用品一覧」という名前のシートを取得
- .getDataRange(): そのシート内にあるデータ範囲すべてを取得
このあとの検索処理は dataRange に対して行います。
文字列の検索と一致したセルの位置情報を確認してみよう[findNext()]
const finder = dataRange.createTextFinder("シャンプー");
const foundRange = finder.findNext();
- createTextFinder(“シャンプー”): 「シャンプー」という文字列を検索条件に指定
- findNext(): 最初にヒットしたセルを返してくれる(Range オブジェクト)
ここで返ってくる foundRange は、「シャンプー」が入っているセルの rangeオブジェクトです。
位置情報を確認しよう
if(foundRange){
// 見つかった時の処理
} else {
// 見つからなかった時の処理
}
- foundRange が存在すれば、検索文字列が見つかったということになるので、そのときの処理を実行
- 見つからなければ else 側の「見つかりませんでした」とログを出すだけ
Logger.log(`見つかったセルの位置は${foundRange}`);
この行では、Range オブジェクトがそのまま表示されます。多くの場合、ログには Range とだけ出るので、どのセルかはわかりにくいです。
翻訳してみよう(A1表記を確認する)
Logger.log(`見つかったセルの位置は${foundRange.getA1Notation()}`);
- getA1Notation() は、B2 や C3 などの見慣れたセル番地(A1形式)を返してくれます。
- 「B2」のように表示されれば、どのセルでヒットしたかわかりやすいです。
発見した文字列の位置情報を使って色々な情報を取得してみよう
Logger.log(`見つかったセルの行番号は${foundRange.getRow()}`);
Logger.log(`見つかったセルの中身は${foundRange.getValue()}`);
Logger.log(`見つかったセルが属するシート: ${foundRange.getSheet().getName()}`);
- getRow(): 見つかったセルの行番号を返す
- getValue(): そのセルに入っている値(文字や数値)を返す
- getSheet().getName(): セルが属するシート名を返す
これらの情報を組み合わせると、検索でヒットしたセルの場所や値を自由に活用できます。
文字列が複数ある場合はどうするの?[.findAll()]
もし、同じ文字列が複数のセルに含まれる場合は、.findAll() を使うと便利です。
.findAll() は、該当する文字列を含むセルの Range オブジェクトを配列として返してくれます。
const finder = dataRange.createTextFinder("シャンプー");
const foundRanges = finder.findAll();
if(foundRanges){
for(let foundRange of foundRanges){
Logger.log(`見つかったセルの位置は${foundRange.getA1Notation()}`);
Logger.log(`見つかったセルの行番号は${foundRange.getRow()}`);
Logger.log(`見つかったセルの列番号は${foundRange.getColumn()}`);
Logger.log(`見つかったセルの中身は${foundRange.getValue()}`);
Logger.log(`見つかったセルが属するシート: ${foundRange.getSheet().getName()}`);
}
} else {
Logger.log("指定の位置は見つかりませんでした。");
}
- foundRanges は配列なので、for 文を使って一つずつ処理すればOK
- .findNext() だと最初にヒットしたセル1つしか取得しませんが、.findAll() ならすべてのセルを取得できます
まとめ
- createTextFinder() で検索文字列を指定し、.findNext() で「最初に見つかったセル(Range オブジェクト)」を取得できる。
- もし検索した文字列が複数のセルにある場合は、.findAll() を使うことですべての該当セルを取得できる。
- rangeオブジェクト はセルの「場所・値・シート名」など、さまざまな情報を持っている。getA1Notation() や getRow()、getValue() などを使って、必要な情報を取り出せる。
今回のサンプルでは「シャンプー」を探しましたが、実際にはさまざまな文字列を検索して活用できます。重複しない「ID」や「コード番号」のような唯一の値を検索するときは .findNext() 、複数ヒットする可能性がある場合は .findAll() を使ってみてください。
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