GASで最終受注日をチェック&通知するスクリプト解説【全体の流れ】
こんにちは。イカPOです。今回からは連載形式の記事を掲載します。この記事はその第1回です。
下記の記事で「最終受注日が10か月以上経過したデータを自動抽出&メール通知する方法」 について簡単に紹介しました。
この記事で、スプレッドシートからデータを条件をつけて、データを自動で抽出し、抽出したデータをメールで送信するスクリプトについて紹介しました。
このスクリプトの詳細を全3回に分けて解説し、処理の仕組みをしっかり理解できるように説明します。
第1回目は主にスプレッドシートからデータを取得する方法と、1行目をヘッダーとして扱う方法 について詳しく解説します。
最終的にスクリプトで実装する処理の考え方。
スクリプトの処理を3つのステップに分けて考えます。
1️⃣ 顧客管理表を取得(スプレッドシートのデータを取得)
2️⃣ 取得したデータから、最終受注日が10か月以上経過した顧客を探す
3️⃣一覧をメールで送信する
この流れが理解できれば、スクリプトの実装も難しくありません。
「やりたいこと(日本語)」を GAS(Google Apps Script)のコード に落とし込み、Googleに処理させましょう。
今回は1️⃣の顧客管理表を取得(スプレッドシートのデータを取得)にフォーカスして解説します。
スクリプトの最終完成形のコード全体はこの記事に記載しているので、そちらを確認してください。
前提条件
このスクリプトを実行するには、以下の準備が必要です。
📌 Googleスプレッドシートに「最終受注日」を記録したデータがあること
📌 Google Apps Script(GAS)を使える環境があること
📌 プログラミング初心者でも理解できるよう、できるだけシンプルに解説します!
スクリプトの解説の前に、データの準備から
まずは、スプレッドシートに、以下のデータを準備しましょう。
顧客ID | 名前 | 最終受注日 | 最終受注項目 |
1 | テストタロウ | 2024/05/01 | ソケット |
2 | ヤマダタロウ | 2023/01/15 | 足部 |
3 | スズキタロウ | 2025/01/06 | ライナー |
データ入力時の注意点
✅ 1行目はヘッダー として扱います(このデータをスクリプトで利用するため、正しく入力してください)。
✅ 最終受注日の日付は「日付フォーマット」に設定 してください。
✅ シートの名前を「一覧表」に変更 してください。スクリプト内でこの名前を使用するので、異なる名前にするとエラーの原因になります。

シートの準備ができたら、拡張機能 → Apps Script からスクリプトエディタを開き、コードを入力しましょう。
スプレッドシートのデータを取得する方法
スプレッドシートのデータを取得するためには、以下の 3つの手順 を踏みます。
1️⃣ スプレッドシートをアクティブにする(Googleが操作できるようにする)
2️⃣ アクティブなスプレッドシートから対象のシートを選択する
3️⃣ シート全体のデータを取得する
この流れを GASのコード に落とし込んでいきましょう!
まずは関数を用意しよう
GASでは、コードを実行するためには関数が必要 です。関数とは、特定の処理をまとめて実行できる「コードのまとまり」 のことです。
まずは、スプレッドシートのデータを取得するための関数を作成しましょう。
以下のように 関数の枠組み を用意して、その中にコードを書いていきます。
function checkOverdueOrders() {
// この中にコードを記載する
}
関数を作成する理由
✅ コードを整理できる(どの処理が何をしているか明確になる)
✅ 必要な処理だけ実行できる(関数を呼び出せば、その処理だけ実行される)
✅ 再利用しやすい(他のスクリプトでも流用できる)
これで、データを取得する準備が整いました!
それでは、次のステップとして スプレッドシートをアクティブにする処理を追加していきましょう。
1. スプレッドシートをアクティブにする
まずは、対象のスプレッドシートを GASが操作できる状態 にします。
const ss = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet(); // アクティブなスプレッドシートを取得
📌 解説: このコードは、現在開いているGoogleスプレッドシートを取得する処理 です。
SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet();
🔹 Googleがどのスプレッドシートを操作すればよいのかを理解できるようにする おまじないみたいなものです。
🔹 「ss」という変数 に、アクティブなスプレッドシートを格納しています。
この処理がないと、Googleは「どのスプレッドシートを操作すればいいの?」と迷ってしまうので、必ず最初に設定しましょう!
2. 操作対象のシートを取得する
次に、スプレッドシートの中から、特定の シート(一覧表) を取得します。
const sheet = ss.getSheetByName('一覧表'); // 操作対象のシートを取得
📌 解説:
🔹 getSheetByName(‘一覧表’) は、シート名を指定して取得 するメソッドです。
🔹 変数 sheet に 「一覧表」シートを格納 しています。
3. シート全体のデータを取得する
次に、スプレッドシートの すべてのデータ を取得します。
const data = sheet.getDataRange().getValues(); // シート全体のデータを取得(2次元配列)
📌 解説:
🔹 getDataRange() で、シートの すべてのセル範囲 を取得
🔹 getValues() で、値を取得(2次元配列として取得)
これで、スプレッドシートのデータを data という変数に格納できます。
4. 1行目(ヘッダー)を取得する
最後に、1行目(ヘッダー)を分離 します。
const headers = data.shift(); // ヘッダー行(1行目)を取得
📌 解説:
🔹 shift() は、配列の最初の要素を取得し、それを削除するメソッド
🔹 つまり、data の 最初の行(ヘッダー)を取得して headers に格納 する処理です。
コードの全体像
function checkOverdueOrders() {
const ss = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet(); // アクティブなスプレッドシートを取得
const sheet = ss.getSheetByName('一覧表'); // 操作対象のシート(適宜変更)
const data = sheet.getDataRange().getValues(); // シート全体のデータを取得(2次元配列)
const headers = data.shift(); // ヘッダー行(1行目)を分離して取得
Logger.log(data);
Logger.log(headers);
}
まとめ
この記事では、スプレッドシートのデータを取得する方法 について詳しく解説しました。
✅ スプレッドシートをアクティブにする
✅ 対象のシート(一覧表)を取得する
✅ シート全体のデータを取得し、ヘッダーを分離する
これで、次の処理 「10か月以上経過した受注データを抽出する」 準備が整いました!
次回予告
次回の記事では、「取得したデータから、最終受注日が10か月以上経過した顧客を探す方法」 について詳しく解説します!
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