はじめに
足関節の内反・外反を矯正する際に使用されるTストラップとYストラップには、それぞれ異なる効果と機能があります。本記事では、その違いを詳しく解説し、両側支柱型だけでなく、実はシューホンブレイスなどの短下肢装具硬性タイプにもストラップが使用できることを紹介します。
TストラップとYストラップとは何か?
まずは、これらのストラップが何を目的としているのかを整理します。
足関節の内・外反は、TストラップとYストラップを用いて矯正可能です。
原則として、Tストラップは内反矯正に使用され、外側から水平方向に内側支柱に向かって牽引するのでT字型となります。Yストラップは外反矯正に使用され、通常内側アーチの低下を伴うため、内果下方より斜め上方に向かって牽引するのでY字型となります。
引用:義肢装具のチェックポイント
これらのストラップは、両側支柱短下肢装具に追加されるもので、矯正方向によって名称と形状が異なるのが特徴です。
TストラップとYストラップの効果と機能の違い
効果の違いを理解しよう
形状を暗記する必要はありません。重要なのは、それぞれがどのような矯正効果を持つかです。
- Tストラップは足関節の内反を矯正
- Yストラップは足関節の外反を矯正
Tストラップの特徴
- 形状:T字型
- 機能:内反を矯正
- メカニズム:内側の支柱を支点に、外果付近を内側に押し込む力を発生させます。これにより、足関節の内反変形を効果的に抑制します。
Yストラップの特徴
- 形状:Y字型
- 機能:外反を矯正
- メカニズム:外側の支柱を支点に、内果下方から斜め上方に引き上げる力を発生させます。これは、外反変形とともに起こりやすい内側アーチの低下も同時にサポートします。
シューホンブレイスでのT・Yストラップの活用方法
シューホンブレイスにT・Yストラップは使えるの?
両側支柱型の装具とシューホンブレイスでは装具の構造が異なるため、同じ形状のストラップを使用することはできません。しかし、内反を矯正するベルトの形状に変更することで、同様の効果を得ることが可能です。このベルトは、装具の金額を決定する補装具費見積項目の「T・Yストラップ 硬性用具用」として扱われるため、ここではT・Yストラップとして紹介します。
参考リンク
シューホンブレイス用足関節内矯正ストラップ
- 形状:Y字型見えますが、Tストラップと同じ内反矯正を目的としています。
- ポイント:ストラップが装具の内側から立ち上がり、体に直接触れていること。これにより、外果を捉えて内側に押し込む力を発生させます。
ストラップと称していますが、足関節のベルトを内反矯正を目的として形状を変更しているだけです。
ベルトによる内外反矯正
Y字型でなくても、通常のベルト形状でも矯正が可能です。
- 方法:装具の内側からベルトを立ち上げ、反対側のカンを支点にします。
- 効果:ベルトの立ち上げ部分が身体に密着しているため、足関節を効果的に矯正できます。支点となるカンの取り付け位置を変更することで、内外反の矯正方向を変更できます。
- 内カンを使用:内反を矯正
- 外カンを使用:外反を矯正
まとめ:TストラップとYストラップの違いは内反矯正用か外反矯正用か
本記事では、TストラップとYストラップの違い、それぞれの効果と機能、そしてシューホンブレイスへの応用方法について解説しました。
絶対に覚えておきたいポイント:
- Tストラップは内反矯正
- Yストラップは外反矯正
このポイントだけ押さえていただければ知識としては十分かと思います。
実際の装具選択やベルトの形状などの変更は、使用する方一人一人に合わせる必要があるので、今回紹介した方法が全てではありません。しかし、選択するうえで、前提の知識として持っていると、装具選択の幅が広がると思います。
この記事が、皆さんの学習において役立てば幸いです。それではまた。
短下肢装具の内反尖足対策方法についてはこちらの記事でも紹介しています。
参考文献
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