サイズ調整可能な長下肢装具があることをご存知でしょうか?
この記事では、2024年現在利用可能な「調整式長下肢装具」の代表的な3つの商品について、その特徴と私の感想を紹介します。これから長下肢装具の購入を検討している方や、備品用装具を探している方の参考になれば幸いです。
調整式長下肢装具の3つのモデル
以下に紹介するのは、パシフィックサプライ社、アドバンフィット社、トクダオルソテック社の3つのモデルです。これらはすべて高さや周径の調整機能を備え、用途に応じた膝継手や足継手の選択が可能です。
1. ゲイトイノベーション
ゲイトイノベーションは、パシフィックサプライ社製の長下肢装具で、私が関西圏で活動しているため、特によく目にする装具です。
- 特徴的な「センターフィックスシステム」により、ノブを回すだけで簡単に周径の調整ができます。
- 「ハイアジャストシステム」によるレバー操作で、高さの調整も簡単に可能です。
- 工具不要で簡単にカットダウンができ、皮革や布を使用しないため、メンテナンスが水吹きや除菌剤で行いやすいのも利点です。
膝継手:リングロック、ダイヤルロック、SPEX
足継手:Wクレンザック、ゲイトソリューション
サイズ展開:S、M、L(3サイズ,左右有)
2. ADアジャストKAFO
ADアジャストKAFOは、アドバンフィット社製の左右兼用2サイズ展開の装具です。
- 膝継手はSPEXとリングロックが選択可能で、足継手にはWクレンザックが採用されています。
- 高さ調整は5段階に対応し、スライド式で大腿と下腿の幅も調整可能。すべての調整は工具不要で行えます。
膝継手:SPEX、リングロック
足継手:Wクレンザック
サイズ展開:2サイズ(左右兼用)
3. モジュラーレッグブレースネオ
モジュラーレッグブレースネオは、トクダオルソテック社製の組立式長下肢装具です。
- 工具不要で高さや周径、幅の調整が可能で、除菌対応の素材を使用しているためメンテナンスが容易です。
- 足部にはビブラムソールが採用され、MPの柔軟な曲がりが実現されており、ボアシステムによる足部の周径調整も可能。シリコン製のインソールは取り外し可能で、手入れが簡単です。
膝継手:ダイヤルロック、リングロック
足継手:Wクレンザック、ゲイトソリューション
サイズ展開:2サイズ(左右有)
調整式長下肢装具の比較
製品名 | サイズ展開 | 膝継手 | 足継手 |
ゲイトイノベーション | 3サイズ | リングロック、ダイヤルロック、SPEX | Wクレンザック、ゲイトソリューション |
ADアジャストKAFO | 2サイズ | リングロック、SPEX | Wクレンザック |
モジュラーレッグブレースネオ | 2サイズ | ダイヤルロック、リングロック | Wクレンザック、ゲイトソリューション |
備品用長下肢装具の過用リスクについて
備品用の長下肢装具を長期間使用することにはリスクが伴います。私の考えとして、備品用はあくまでも評価用にとどめ、本人に適合した装具を作成することを推奨します。
1. 修理コストの発生
装具は使用するたびに消耗します。特にベルトや靴底が劣化すると、装具の固定力が低下し、アライメントが狂います。また、調整箇所が多いほど破損のリスクが増加します。修理費用も高くなるため、長期間の使用には適していません。
2. 適合不良による効率低下
備品用の装具は、本人に合わせて作られた装具に比べて適合性が劣ります。適合が悪いと、筋出力を効率的に発揮できず、長期的には非効率です。長期間使用する予定がある場合は、できる限り本人専用の装具を作成することをお勧めします。
まとめ
今回は、3つの調整可能な長下肢装具を紹介しました。それぞれに特徴があり、使用環境やニーズに応じて選択することができます。
最も簡単に紹介すると下記のようになります。
- ゲイトイノベーション:豊富な選択肢と広い対応範囲
- ADアジャストKAFO:左右兼用で使いやすく、SPEXも使用可能
- モジュラーレッグブレースネオ:ビブラムソールとボアシステムを採用し、足部の特徴が豊富
デモ機やレンタルが可能なモデルもあるため、実際に試してみるのが一番だと思います。ぜひ比較検討して、目的に沿った最適な製品を見つけてください。 それではまた。
この記事についてのご意見や間違いのご指摘は、ぜひX(旧Twitter)でお知らせください!
皆さまのフィードバックをお待ちしています。以下のアカウントまでお気軽にメッセージをお寄せください。
この記事には筆者の個人的な解釈も一部含まれています。一つの参考としてお読みいただきつつ、最終的にはご自身や担当の方としっかり相談の上で判断いただけますと幸いです。
皆様の声で情報をアップデートしていきます。よろしくお願いします。