下腿義足とソケットの基礎についてのまとめ

AI系

はじめに

今回もPO(義肢装具士)を目指す学生を対象にした記事です。過去に国試対策用として作成したブログ記事を再編集しました。下腿義足の基本的な知識をまとめています。

この記事では下腿義足の構成要素や主要なソケットの種類についてまとめています。大腿義足のソケットについては別の記事にまとめていますので、そちらもぜひ参考にしてください。

注意点

本記事は、義肢装具士(PO)国家試験の過去問題を基に、自分なりに解釈してまとめたメモです。この記事の内容は、あくまで国試対策としての参考資料であり、臨床現場での適用や判断には直接的に役立つものではないのでご注意ください。

そもそも下腿義足とは?

下腿義足って何?

下腿義足とは、下腿切断者が使用する義足のことです。下腿切断では、膝関節の機能がほぼ完全に残存しているため、膝を使っての動作が可能です。ただし、脛骨や腓骨などの骨部が皮膚の直下にあり、これらの骨には体重をかけることができません。

下腿義足の構成要素

下腿義足は、以下の4つの要素で構成されています。

  • ソケット: 断端を収める部分
  • 懸垂装置: 義足を身体に保持するための機構
  • 支持部: 体重を支える部分
  • 足部: 足の役割を果たす部分

ソケットの種類と特徴

下腿義足のソケットは、体重支持方法と懸垂方法に基づいていくつかの種類に分類されます。以下に、代表的なソケットについて説明します。

PTB(膝蓋腱支持型ソケット)

1959年にカリフォルニア大学生体力学研究所で開発され、広く普及しているソケットです。

体重支持方法

  • 主に膝蓋腱靭帯で体重を支持し、膝下部をカウンターとして抑えます。
  • 断端の耐圧性の高い組織(膝蓋腱靭帯、前脛骨筋、腓腹筋)で体重を支え、骨部は除圧されます。
  • ソケットは、膝関節を軽度屈曲させるアライメントが特徴で、断端前面部を多く使って支持します。

懸垂方法

  • PTBは自己懸垂機能がないため、PTBカフベルトなどの懸垂装置を使用します。
  • PTBカフベルトは、懸垂、膝関節の内外側の軽度動揺防止、膝関節の過伸展防止の役割を果たします。

TSB(全面接触型ソケット)

全面接触型荷重方法を採用したソケットで、PTBとの大きな違いは、断端全体を体重支持面とする点です。

体重支持方法

  • 断端表面全体で体重を支えるため、軟部組織を圧縮して体重を支持します。
  • ソケットと断端の密着度が重要で、密着度が低いと体重支持に問題が生じます。そのため、ライナーを使用することが多いです。

懸垂方法

  • TSBも自己懸垂機能がなく、キャッチピン式のライナーを使用してソケットに懸垂します。
  • 膝の動きを制限しないため、歩行時の負担が少なく、膝上部の圧迫もありません。

PTS(大腿骨顆部支持型ソケット)

1964年にコペンハーゲンで発表されたソケットで、大腿骨顆部を完全に包み込み、自己懸垂機能を有するのが特徴です。

懸垂方法

  • 大腿骨内外顆および膝蓋骨上部の形状を利用して懸垂します。

体重支持方法

  • 本来のPTSは、広い接触面を用いて均等に圧力を分散させて体重を支持します。

KBM(膝蓋骨露出型ソケット)

西ドイツで開発されたソケットで、PTSと同様に大腿骨顆部を包み込みますが、膝蓋骨が露出しているのが特徴です。

懸垂方法

  • 大腿骨内外顆の形状に合わせたソケット両翼により懸垂します。ソケット両翼の適合が非常に重要です。

体重支持方法

  • PTSソケットと同様に、体重を支持する場合があります。

まとめ

この記事では、下腿義足の基本的な構成要素と主要なソケットの種類について説明しました。再度、過去に作成した記事をベースに再編集していますので、最新の情報も参考にしながら理解を深めてください。

こちらにも義足の用語をまとめています。

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