個人的に紹介したい。義足膝継手3選(nk6,ベルーガ,3R62)

個人的に説明したい膝継手3選アイキャッチ 個人的に紹介したい装具シリーズ

はじめに

今回は、私がPO(義肢装具士)として携わってきた仕事の中で出会った義足用の膝継手について、ぜひ皆さんにお伝えしたいと感じた3つの製品を紹介します。この記事で取り上げる膝継手は、大腿義足の骨格構造を製作する際に選んだものです。あくまで個人的な評価であり、学術的な根拠はありませんのでご了承ください。

ターゲット

  • 義足の膝継手について調べている方

紹介したい膝継手3選

左からNK6・SL0708・3R62
  1. NK6
  2. SL0708
  3. 3R62

1. NK6

ナブテスコのHPから引用

製品リンク

多軸の油圧式膝継手で、様々な機能が盛り込まれています。高い安全性と快適性を両立しており、非常に高機能な膝継手です。

特徴

  • 六軸油圧膝継手
  • スクリューヘッドに交換可能
  • スイッチによるロックアンロック機能を追加可能
  • P-MRSによる機構的な膝継手のロック
  • 伸展補助バネ
  • バウンシング機構

詳細説明 

長断端への対応
ピラミッドからスクリューヘッドに換装できる。発注時にスクリューヘッドタイプを選択する必要があるのは要注意

発注時に多軸+スクリューヘッドにより、長断端の方でも対応可能です。更に、多軸のリンク機構により、足部と床面のクリアランスを保つことが可能です。さらに、構造パーツとの接続部を、スクリューヘッドタイプに変更することが可能。(発注時に選択する必要有。)

スクリューヘッドによって、構造高さを減らすことができます。長断端の方特有の、健側の膝軸との義足側膝軸のズレを減らすことができます。

2つのロック機能による高い安全性
リンク機構によるロックと、物理スイッチによるロック。2つのロック機能が搭載

高い安全性を確保するために、P-MRS(Position-Memory Rotation System)による膝継手のロック機能が搭載されています。P-MRSとは、リンク機構による機構的なロック機構です。リンク機構によって、重心を検知し、踵側に重心が乗っている限り、膝がロックされている状態になる機構です。

これにより、立位時の安定性を高め、不意な膝折れを防ぐことができます。更に、物理的に膝をロックすることができるスイッチを取り付けることも可能です。物理的に膝をロックすることで、不整地での安定した歩行や、歩行時の膝折れの不安感を完全に取り除くことが可能になります。

歩行快適性の確保

バウンシング機構を搭載。立脚初期の膝関節の軽度屈曲を再現します。バウンシングによってロック状態でも快適な歩行が可能です。油圧による膝の振り出し速度の制御も可能。利用者の歩行速度に合わせた振り出し速度に調整可能です。伸展補助バネも搭載しており、膝伸展の速度を油圧とバネの両方で調整することができます。

個人的な感想 

高い安全性と歩行快適性を併せ持つ、非常に高機能な膝継手だと感じています。様々な活動度、断端長の方に適応があるのでよく提案する膝継手の1つです。調整幅も広く、利用者の身体状況変化に対応できることが多いのも特徴です。

特にロックアンロックが手動で切り替えられる点が推しポイントです。

型式NK-6NK-6+LNK-6SHNK-6SH+L
接続部位(上部)ピラミッドピラミッドスクリューヘッドスクリューヘッド
追加機能セレクティブロックセレクティブロック
全長197mm191mm
重量(本体)920g970g960g1010g
各型式によって搭載される機能が違います。発注時は要注意

4つタイプがあるので、必要な機構に合わせて選択してください。

2. SL0708 Beluga

SL0708

製品リンク

バウンシング付きの手動ロック膝で、歩きやすさが特徴です。

特徴

  • 低活動者向け
  • 手動による膝の固定・遊動切り替え
  • バウンシング機構

詳細説明 

安全性が高いロック膝

手動で固定・遊動を切り替えることができ、歩行時の膝折れによる転倒の危険を防ぎます。立位時・歩行時はロック。座位を取るときはロックを外して膝を動かします。

バウンシング機構搭載
バウンシングを搭載。立脚期の軽度膝屈曲を再現します。

立脚初期の膝の軽度屈曲を再現するバウンシング機構が搭載されており、固定状態でも快適な歩行が可能です。

個人的な感想 

ロック膝+バウンシング機構を備えた膝継手は少なく、膝をロックしたまま歩行を希望するユーザーに提案しています。訓練を重ねることで、かなりの歩行速度を実現するユーザーもいました。

3. 3R62 Pheon

3R62

製品リンク

EBS(Ergonomically Balanced Stride)搭載の低活動者向け膝継手で、スクリューヘッドに変更可能です。

特徴

  • 低活動者向け
  • 多軸+スクリューヘッド換装で長断端に対応可能
  • EBSによる歩行快適性
  • 荷重ブレーキ+伸展補助バネによる膝の制御
  • オプションでロック・アンロック機能を搭載可能

詳細説明 

長断端への対応
スクリューヘッドタイプを選択することも可能

多軸の継手です。これにより遊脚期の足部クリアランス確保が期待できます。更に、スクリューヘッドタイプの選択が可能です。これにより、長断端の方でも対応できます。

歩行快適性の担保

EBS(Ergonomically Balanced Stride)機構により、立脚期の軽度膝屈曲を再現し、歩行の快適性を保ちます。さらに、荷重ブレーキと伸展補助バネにより、膝の屈曲速度や伸展速度を調整できます。

ロック・アンロック機能の追加

オプションで固定・遊動を切り替えるロックアンロック機能を追加することが可能です。

参考動画 

Pheon 3R62 – Adjustments & Settings

3R62の調整方法や、ロックアンロック機能の取り付け方法が動画になっています。(公式です)

個人的な感想 

低活動者向けながら、調整可能な機能が多く、長断端にも対応できる多用途な膝継手です。

あとなぜか日本版カタログには掲載されていません。

しかし完成用部品には登録されています。(R6年度)

NK6より低価格なのも特徴です。

まとめ

今回は、個人的にお勧めしたい膝継手を3つ紹介しました。

  • ロックしたままバウンシングが使える膝継手。
  • ロックとアンロックの切り替えが可能な膝継手。
  • スクリュートップが使用でき、長断端でも対応できる膝継手。

振り返ってみると、この3点の機能を持つ膝継手を私個人は好んでいるようです。今回の記事はあくまで個人的な評価です。学術的な根拠はありませんのでご了承ください。義足のパーツは数多く存在し、選ぶ際には膨大なエネルギーを消費します。この記事が義足のパーツ選びの手助けになれば幸いです。それではまた。

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この記事には筆者の個人的な解釈も一部含まれています。一つの参考としてお読みいただきつつ、最終的にはご自身や担当の方としっかり相談の上で判断いただけますと幸いです。

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