内壁の主な機能
坐骨と坐骨枝を収納する
恥骨下枝をソケットから逃がし、負担を軽減
内壁の組織を収納し、内転筋ロールを防ぐ。
長内転筋腱の負担を軽減し、ハムストリングスを適切に収納する。
内壁の形状

IRCソケット内壁の形状
出展 : 義肢装具のチェックポイント 第8版 日本整形外科学会 (著)
側壁の高さは前壁の高さに対応させ決定する。
Vシェイプ(坐骨枝とソケットの交差)

IRCソケット内壁の形状
出展 : 義肢装具のチェックポイント 第8版 日本整形外科学会 (著)
恥骨下枝を逃がすためにV型の形状。坐骨枝とソケットが交差する箇所であり、ソケットAP系の中央に位置する。
最深部は坐骨結節レベルから6mm下方。1cm以上下げると内転筋を収納しきれず、内転筋ロールが発生する。
坐骨収納部
坐骨結節、坐骨枝を収納する。
収納部の深さは坐骨結節レベルより約4cmとする。
収納部が深すぎると座位の際、坐骨結節がソケットの縁の上にくる。
坐骨収納部は坐骨枝の角度に合わせ設計する。
坐骨枝角度とは?
坐骨枝角度は進行方向に対する角度。
坐骨体の内側は比較的直線的形状。恥骨下枝のための出口へと繋がっている。
長内転筋のチャンネル
前壁と内転をつなぐコーナーに位置。長内転筋を逃がす。
ソケットの輪郭
内側壁は平坦で、縁部の半径は12mm。
坐骨収納部のフレアは大きく作る。縁部では少なくても水平な形状に。
フレアの形状が小さすぎると、坐骨収納部より上部の組織に圧迫感が生じる。
内壁のトラブル
坐骨が収納できない場合
- 骨ML、ソケット内周径が小さく断端がソケットに入らない
- 坐骨が内側の縁部に位置し、収納部の位置とずれている
- ソケットが内旋。ソケットと断端の向きがあっていないため収納できない。
- ソケットのAP径が大きすぎる
- 坐骨を収納する角度が正確ではない。
恥骨下枝への圧迫
- AP径が大きすぎる。
- 坐骨結節レベルに対して内側壁が高すぎるため、恥骨下枝とソケットが接触
- 坐骨の下方の支持が不十分
- コンプレッション値が大きすぎる
- 坐骨収納部が過度に前方に遠方。恥骨に接触。
- ソケットが外旋
- Vシェイプの形状不良
まとめ
IRCソケット内壁は坐骨と坐骨枝を収納。恥骨下肢をソケットから逃す役割がある。
大腿骨の内転位を保つことや、装着時の快適性を担保する重要な壁である。
Vシェイプ、長内転筋腱のチャンネル、坐骨収納部の角度、形状、高さに不良で重篤なトラブルを引き起こす。
この記事は義肢装具士国家試験対策に勉強したことを
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