下肢装具の足継手:固定・遊動・制限・制動・補助の機能解説

下肢装具

はじめに

下肢装具の足継手には「固定・遊動・制限・制動・補助」の5つの機能があります。病態に応じて適切な足継手の機能を選び、その機能を持った足継手を選択します。例えば、「この継手は背屈フリー(遊動)で、底屈には制限をかけています」と説明することがあります。しかし、これらの用語は共通言語として認知されていないのではないかとふと思い、久しぶりに「脳卒中の下肢装具」を読み返してみると、自分自身でも固定と制限の認識が間違っていたことに気づきました。

義肢装具に関する用語はネット上であまり見つからないため、足継手について少し調べようと思っても、情報が見つからないことがあります。そこで今回は、足継手の5つの機能について解説し、背屈・底屈のよくあるパターンとそれに対応する足継手についてもまとめました。

足継手の5つの機能

固定

遊動

制限

制動

補助

これらは全て足関節の背屈・底屈の制御方法に関わるものです。病態に合わせて足継手の機能を選択し、その後、その機能に対応した足継手を選び装具の製作を開始します。

足継手の機能と代表的な装具・足継手

固定

背屈・底屈どちらの方向にも動かない状態

背屈・底屈どちらの方向にも動かない状態

該当装具

シューホンブレイス(リジット)

該当足継手

Wクレンザック ロッド固定

遊動

〇がついている方向には何の抵抗もない状態

その方向に抵抗なく動く状態

該当足継手

Wクレンザック(対応する方向のロッドを外す)

タマラック、ジレット、オクラホマ(底屈背屈は遊動)

制限

〇がついている方向は遊動。×がついている方向は制限。

ある一定の角度から動かない状態

該当足継手/機構

17s1スナップストップ。画像はオットーボックのカタログから引用。底屈制御機構の一つ。

Wクレンザック(制限する方向のロッドをしめる)

後方でのプラスチック同士の接触による固定、スナップストップ、モーションコントロールリミッターによる底屈制御

制動

その方向に対して、ブレーキをかけ減速させるイメージで良い。

その方向にブレーキをかけながら動く状態

該当装具

・オルトップAFOシリーズ(プラスチックの撓みを利用する/底屈背屈ともに制動)

・ウォークオンシリーズ(カーボン支柱が撓み制動をかける/底屈背屈ともに制動)

・ゲイトソリューションデザイン(油圧によって底屈を制動する。背屈は遊動)

該当足継手: 

・Wクレンザック(制限する方向にバネを入れる)

・ゲイトソリューションシリーズ(油圧により底屈方向に制動をかける)

補助

タマラック背屈補助継手は背屈位に戻ろうとするときに補助が働く

一度底屈または背屈方向に動いたものが元に戻る時にその方向に力が発生する機能。

該当装具

オットーボック社。ウォークオンシリーズ。画像はカタログから引用

ウォークオンシリーズ(カーボン支柱が撓み制動をかけるが掛かり、原型に戻るときに補助に働く)

該当足継手

お馴染みタマラックandジレットの背屈補助継手

タマラック背屈補助継手

ジレット背屈補助継手

足継手選択パターンと対応装具・足継手

底屈固定・背屈固定

リジットシューホン 画像は川村義肢のカタログから引用。

底屈・背屈ともに動かない状態

対応装具

・足継手: シューホンブレイス(リジット)

・Wクレンザック(底屈・背屈共にロッド固定)

底屈制限・背屈遊動

底屈方向は制限をかけ、一定の角度以上には動かない状態。背屈方向はフリー

対応装具・足継手

・タマラック、ジレット、オクラホマ(底屈方向には制御機構を用いる)

・Wクレンザック(底屈方向はロッドによる固定、背屈はロッドなし)

底屈制動・背屈遊動

ゲイトソリューションシリーズ。パシフィックサプライのWEBページから引用

底屈方向は減速しながら動く。背屈方向はフリー

対応装具・足継手

・ ゲイトソリューションシリーズ(油圧による底屈制動、背屈フリー)

・Wクレンザック(底屈方向にバネを入れる、背屈方向はロッドなし)

まとめ

今回は、足継手の5つの機能とそれに対応する装具・足継手について簡単に解説しました。状況に応じて最適な足継手を選択し、適切な装具を提供することが重要です。「底屈制動をかけたいな→ゲイトソリューション!」「底屈を制限したいけど背屈はフリーにしたいな→タマラック!」といったパターンを知っていれば、思考する時間が短縮できますし、新たな一手を思いつくこともできるかもしれません。

この記事内では病態や適応疾患については触れていませんが、装具選択の際にこの記事が少しでもお役に立てば幸いです。

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